TBSラジオ(2007年11月6日)「コラムの花道」町山智浩よりピックアップ:

映画「マイティ−ハ−ト」は、2002年にウォ−ル・ストリ−トの記者がパキスタンイスラム過激派に誘拐されて首を切断された事件を描いたもの。監督はマイケル・ウィンタ−・ボトムで、以前に映画「ガンタナモへの道」を監督している。これはパキスタン人をアメリカが拉致してキュ−バのガンタナモで拷問していることを描いたもの。


映画「レンディション」は、エジプト系のアメリカ人が仕事でアフリカに行って、帰米したら行方不明になる話。CIAがアルカイダだと思って、誘拐して中東に送って拷問していたが実は無実だったというスト−リ−。


この映画のモデルになった事件は2002年に起きた。シリア系カナダ人がJFK空港にアフリカから着いたら、乗り換える途中に行方不明になった。CIAにさらわれて、ヨ−ロッパ中を回されて、シリアに送られた。シリアで拷問された。しかし最終的に無実になった。


カナダ政府は、米国がカナダ人を拷問したいというのを認めたので、数億円の賠償金を被害者に支払った。


「レンディション」はCIAの隠語。CIAがテロリストと思った人物を独裁国家や秘密警察がある外国に送って、拷問してもらうシステム。拷問の下請、拷問のアウトソ−シング。


拷問している国はエジプトとかシリアとか、ウズベキスタン、東ヨ−ロッパ。秘密警察がある国。表向き、米国が「人権がない」と批判している国。


この事件はメジャ−のTVではあまり報道されていない。


拷問は犯人でない可能性が五分五分。無実の可能性のある人を拷問するのは非常に危険。捜査の方法として、嘘を引き出すことが多い。テロリストは訓練されているから口を割らないが、素人はデタラメを言ってしまう。それでアメリカが動く。


ブッシュ大統領は拷問なんてしていないと言っているが、チェイニ−副大統領はやっていると言っている。拷問について質問された時、「対テロ戦争では我々は暗黒面に行く必要がある」と答えた。アメリカのダ−ス・ベ−ダ−と言われている。

(by pick-up)自ら拉致を行なうアメリカに北朝鮮拉致問題解決への協力を頼んでも…。