NHK教育テレビ(2007年12月26日)「視点・論点」橋本健二よりピックアップ:


『新しい階級社会』

多くの統計で、格差拡大が確認される。ジニ係数で見ると1980年までは所得格差は横ばいだが、その後、一直線に格差が拡大している。日本の経済格差はドイツやフランスなどの先進国より大きくなっている。日本は格差の少ない国だと言われたが、それは過去の事。


貧困に陥る人々が増えてきた。貧困率は16.3%(先進国平均は9.8%)。貧しいお年寄が増えた、もう1つはワーキングプア。少なめに見積もっても75万人増えた。ワーキングプアの増加は労働者階級のうち非正規労働者が中心になっている。ワーキングプアの多くは若い男女のフリーターと、パートの中高年独身女性。


大学進学率はお父さんが資本家階級、新中間階級では6割だが、労働者階級で2割、旧中間階級では3割。ここから階級の固定化が生まれる。子どもが親と同じ階級に所属する傾向をオッズ比で見ると、1985年まで階級の閉鎖性が弱まっていたが、最近、閉鎖性が強まりつつある。


フリーターには貧しい家庭に育ったため進学できず就職難で、仕方なくフリーターになった若者が多い。企業は新卒を優先するため、いったんフリーターになると抜け出せない。こうした若者は失業者を含めて550万人に達している。独身のまま中高年貧困層になる可能性がある。


このままだと国民の間に深刻な利害対立、相互不信や敵対感が生まれる。

(by pick-up)アメリカは最強の国である一方で、貧困率は日本より高い。だが、一部分だけアメリカのマネしても、アメリカと日本の前提条件が全く違うのだから、日本がアメリカのように強くなれる訳ではないのである。足もとを見て、どうすべきか考えることが必要。