『歴史学研究』(2007年8月)歴史学研究会/「教育3法批判」光本滋よりピックアップ:

教育3法案は、2006年12月の改正教育基本法(以下、教基法)成立を受けてつくられた。2006年教基法の内容の綿密な分析を行なった日本教育法学会教育基本法研究特別委員会は、この法律の基本的性格として以下の4点を指摘した。


(1)教育の権力統制正当化法であり、


(2)国家道徳強制法とでもいうべき実質を備えている。


(3)学力競争と格差を是認する学校教育制度づくりを国に授権する法律、


(4)計画・実施・評価・それに応じた財政配分という手法を用いて、規制緩和と統制を内容とする教育改革を可能にする。

日弁連は、「教育内容統制を図るもので、思想信条の自由、教育を受ける権利を侵害し、教員の管理統制強化により自主性を阻害するおそれがある」とする意見書を発表した。専門家による批判があるにもかかわらず、教育3法が修正されることなく成立したことは国会審議の形骸化の深刻さを物語っている。