『週刊金曜日』(2007年7月27日)よりピックアップ:

2005年4月の卒業・入学式の「君が代」斉唱時に不起立を貫き、都教育委員会に不当処分された教職員たちが処分取り消しを求めている都人事委員会の今月12日の口頭審理で、ある養護学校の今春の卒業式の「君が代」斉唱時、人工呼吸のアラームが鳴った生徒に対応していた看護師に、副校長が「起立しなさい」と指示していたことが明らかになった。

週刊金曜日』(2007年6月29日)田中伸尚よりピックアップ:


市民が「君が代」強制を住民訴訟で問うた大阪・枚方市の「スミぬり裁判」が先ごろ、最高裁で敗訴した。

枚方市内に住む松田浩二さんは市の情報公開請求で入手した市教委の文書をみて、言葉を失った。文書は02年の市立小中学校の卒・入学式で国歌斉唱の際に起立しなかった教職員の氏名と、その理由を書き込んだと思われる欄が真っ黒にスミぬりされていたのである。「市教委が教職員個人の思想調査をしている。こんなことは、絶対に止めさせなければ」。


枚方市教委の「日の丸・君が代」指導は、99年1月18日、中野一雄教育長(当時)が出した指示に始まる。この「三点指示」が現在の「七点指示」にふくれ上がった。


要約して再掲する。(1)卒業証書授与、校長式辞などは体育館檀上で行なう。(2)国旗掲揚は、式場内では体育館舞台に、式場外では、校門・玄関・ポールのいずれか。(3)教職員は国歌斉唱時に起立し、斉唱する。教職員に児童・生徒が起立することの意味や斉唱の指導を行なうことを明確に指示する。教職員が起立しない場合、再度起立の指示をする。(4)国歌斉唱を式次第の中に入れ、式場及びしおり、プログラム等に明記し、歌詞を印刷する。(5)国歌斉唱の伴奏は教員によるピアノで行なう。(6)卒業式の司会進行は教諭が行なう。(7)来賓・保護者に対して協力を依頼する。


起立しなかった理由を問うた思想調査は、(3)の指示を根拠にしていたが、この項目は子どもの心に対する虐待のようであり、高裁判決が「七点指示」を「式次第」と判断したのは、法制化が司法をも巻き込んで進行している実態を語っていた。


「七点指示」は単に指示に留まらなかった。その実施状況を01年12月から02年4月まで、校長に報告させていた事実が分かった。さらに「七点指示」の(3)に従わず、起立しなかった教職員について事情聴取を校長が行ない、氏名とともにその理由、つまり個人の思想・信条・信仰などに関する内容を聴取し、市教委に報告させていたのである。


松田さんが入手したのは、このときの「スミぬり」調査表だった。

(by pick-up)この国の精神状態のある部分は1945年8月15日以前に戻っている。