東京新聞(2007年9月11日)藤村博之よりピックアップ:

市場競争が良い結果をもたらすには、参加するプレーヤーの質を高めることが大切である点を述べた。質の高いプレーヤーの条件として、(1)全体の中で自分を意識しながら行動する(2)長期の視点で競争をとらえ短期の利益に惑わされない−−ことの2点が重要だと考えている。


市場競争の結果、「神の見えざる手」によって最適な状態が達成されると説いたのはアダム・スミスである。1776年に出版された『国富論』にその記述があるが、さらに17年前の『道徳感情論』で、競争が最適な状態をもたらす上で前提となるプレ−ヤ−の態度について述べている。


スミスは、自分の行動が第三者から見て共感を得られるかどうかを考えながら行動することが大事であると主張する。自分さえよければいいという行動をとると、周囲の理解が得られず、取引関係から閉め出されてしまう。市場競争に継続的に参加するには、自分の行動を律することが必要だと考えていたのである。


ものづくりで大切なのは継続性である。現在の株式市場は、四半期ごとの決算を要求する。経営者は投資家の動向を無視できないので、目先の業績に心を奪われる。そこで、労働組合の役割が重要になる。