江頭進『進化経済学のすすめ』講談社現代新書/2002年よりピックアップ:

なぜ経済学が現実的ではないと考えたのであろうか。


これは、主流派経済学が、効用関数や生産関数の存在を前提にしているというところに関係している。いまに至るまで、主流派経済学の中には、個人が一貫した方法で、自己の独立した選好に従って、情報を判断するという仮定が置かれている。


この仮定を認めてしまえば、あとは論理展開によって、「現実」の経済現象に対するさまざまな解釈が導き出される。だが、この出発点とも言える個人の選好あるいは効用関数の形成過程についてはほとんど問われることはない。