東京新聞(2007年4月10日)近藤卓「苦しむ子どもたち」(上)よりピックアップ:

現在の子どもたち若者たちの抱える問題のひとつは自尊感情のアンバランスから来る苦しみなのではないかと感じている。


「自分は生まれてきて良かったのだろうか」「自分は生きていて良いのだろうか」といった、問いかけという形で表面化する。


自尊感情が二つの領域から成り立っていたことを忘れている。一つの領域は、他者との比較で勝っていると感じられたときに高められる、社会的自尊感情である。ひとたび競争に負けたり、失敗したりすると、あっけなくしぼんでしまうのである。


そうしたときに私たちを支えるのが基本的自尊感情である。無条件で、先験的に私たちの存在を許し認める感情である。二つの領域をバランス良く育てていくことが求められている。