東京新聞(2007/3/27)菅原伸郎「道徳教育か宗教教育か」よりピックアップ:

道徳教育は1958年度に始まった。戦前の修身教育に郷愁を感じる保守勢力が推進し、革新側が反発して厳しい対立のなかでの出発だった。


もちろん、失敗のすべてが学校のせいではない。欲望をかきたてる経済の仕組み、政治家の汚職など、社会全体で不道徳を教えてきたのである。


中教審の答申「期待される人間像」(1966)を受け、文科省は「人間の力を超えたものへの畏敬の念」(学習指導要領)を宗教的情操として道徳の授業で教えるよう、学校現場に求めてきた。父母や先生や年長者らの目上を敬わせ、その延長上に神々を据えて畏れさせるわけだ。しかし、この「畏れ」という感性は必ずしも宗教の本質ではない。