NHK教育テレビ(2007年2月10日)ETV特集『焼け跡から生まれた憲法草案』よりピックアップ:
GHQの憲法草案は、昭和20年12月28日に新聞発表された鈴木安蔵などの7人の在野言論人による憲法研究会(昭和20年11月誕生)の憲法草案をお手本に作られた。
自由民権運動や植木枝盛の憲法草案を調べた鈴木安蔵は、これを評して言った:
あの当時、藩閥政府に対して、民主国家をつくろう、自由の国家をつくろうと闘った気迫がこもっている。
これだけのものが明治13年14年くらいにできているのにそれ以後、明治憲法体制で若干の抵抗はありましたけれども、祖先が作ったレベルに行かないんだな。
我々こそ祖先以来の伝統を生かして本当の民主国家をつくらなければならんと、私も若かったから、そういう意欲に燃えたわけですね。
古関彰一の解説から:
鈴木安蔵たちの憲法研究会の草案の初期の案には、新政府樹立の権利や国民の期待に応えなかった政府にたいしては革命をおこしていい革命権もあった。
これは植木枝盛の憲法草案などにもあったもの。さらに、それはアメリカの独立宣言やフランスの人権宣言を自由民権家が学んだもの。
明治初期からの地下水脈が戦後民主化で花開いたと言える。
GHQ案がそのまま憲法になったのではなく、生存権や、中学校までの義務教育など帝国議会においてGHQ案に、さらに付け加えられた条文もある。
(by pick-up)現日本国憲法はGHQによる押し付け憲法だと思って改憲を主張している人がいるが、原型は日本製なのだ。
明治憲法体制の日本を理想として、伝統だとか、愛国心教育だとかを強制する自民党や右翼。だが、明治憲法体制と闘った祖先こそ伝統だという立場、抑圧する政府に抵抗することこそ愛国心だという立場だってあるのだ!
国家の命令に唯々諾々と従うのが愛国心ではない。現憲法を考える上でとても参考になる番組だ。