NHK総合テレビ(2007年8月29日)『クローズアップ現代』よりピックアップ:

アメリカで死刑囚が、DNA鑑定技術の進歩で冤罪であることが分かり、続々と釈放されている。日本とアメリカは先進国で死刑制度がある数少ない国である。日本では今月、死刑の執行がされたと報道された。


米国では38州で死刑制度がある。米国の25州で124人の死刑囚が冤罪であることが分かった。ふた月に1件の割合で死刑囚の冤罪が明かになり、死刑制度への不信感が高まっている。


アメリカでは裁判終了後も物的証拠を長期間保存することが多い。弁護士が要求すればこうした証拠を使ってDNA鑑定をすることができる。


警察は犯人を早急に逮捕し、検察はそれを有罪にしなければなりません。裁判官も犯罪に強い姿勢でのぞまねばならないというプレッシャーを感じている。疑わしきは罰せずという大原則があるが、守られていない。


米国では鑑定資料を破棄した場合は罰則が課されている。日本では弁護士が再鑑定を要求しても資料を使い果たしたと言われることが多く、罰則も課されていない。


アメリカの冤罪の要因は、人物特定の誤りが55%、自白の強要が19%、毛髪鑑定が12%、情報提供の誤りが12%だった。


目撃者に容疑者の複数の写真が同時に提示されると、目撃者は犯人がいないと思っても、無意識に似ている人物を選んでしまう。犯人を見つけたいという心理状態に置かれると、ここにはいないと言いにくい。


警察の取調室にカメラの設置を義務づけた州もある。取調室の映像と音声はすべてハードディスクに記録される。自白の部分だけの録画をするシステムを採用していた州では、強引な取り調べ部分は隠されて自白部分だけ証拠とされることがあった。


アメリカでは取り調べ期間は2日だが、日本では23日間でありプレッシャーが大きいのでカメラを導入したら、すべての期間、記録するべきである。


被告に有利な証拠が隠されることがある。検察側の証拠を公判前に弁護側に全て開示することが必要。裁判員制度が始まったら、推定無罪裁判員に説明することが必要。