NHK総合テレビ(2007年8月14日)NHKスペシャル『パール判事は何を問いかけたのか』よりピックアップ:

東京裁判で全員無罪と主張したインドのパール(Pal)判事の判決書から

バターン死の行進”は実に極悪な残虐である。灼熱の太陽下、120Kmにわたる9日間の行軍の全期中、約6万5000名の米国人およびフィリピン人捕虜は、その警備員によって蹴られ殴打された。病気あるいは疲労のために行進から落後した者は射殺され、あるいは銃剣で刺されたのであった。


南京事件について)宣伝と誇張を、できるかぎり斟酌してもなお残虐行為は、日本軍がその占領したある地域の一般民衆、はたまた戦時捕虜に対し犯したものであるという証拠は圧倒的である。


(アジア太平洋各地での日本軍の行為について)それらは戦争の全期間を通じて異なった地域において、日本軍により非戦闘員に対して行なわれた残虐行為の事例である。主張された残虐行為の鬼畜のような性格は否定し得ない。


A.M.バタチャルジーカルカッタ高裁元長官)の話

パール判事は、自分の判決を根拠に日本の侵略行為が支持されることがあってはならない、と言っていました。あの当時、侵略戦争国際法上は犯罪と認められないとの立場でしたが、イギリスであれ、アメリカであれ、日本であれ、侵略戦争は悪いことだと言ってました。


パール判事に近い立場で少数意見を出したオランダのレーリンク判事の意見書

広田元首相など5人の被告を無罪としました。パール判事と異なり平和に対する罪は認め、25人の被告のうち20人を有罪としました。さらに残虐行為について重くとらえ現場にいなくても行為を止めなかった指導者たちの責任を認めました。多数派が死刑にしなかった3人を含む軍人9人について死刑判決を出したのです。


レーリンク判事の語る“戦争を国際法により裁く意義”

私たちは戦争を禁止するという大きな流れの中にいました。その流れは強めるべきものでした。なぜなら世界は戦争禁止を必要としていたからです。裁判によって敗者を裁くことだけが戦後の国際法を前進させる唯一の方法でした。

(by pick-up)右翼言論人はパール判事の都合のいい部分だけをつまみ食いしようとしている。それはパール判事に対して失礼な話である。レーリンク判事の意見は妥当だと思う。