東京新聞(2007年5月15日)「学校再生・教師に聞け!」よりピックアップ:

国の指導力強化を可能にする地方教育行政法改正案の審議が今国会で進む。改正されれば国は教委に直接、指示する権限を持つ。


東京都荒川区は2004年に前助役と前区長が収賄容疑で逮捕され、”再生”を進めてきた。西川区長が教育長に任命したのは、川嵜祐弘氏だった。久々の現場出身教育長だ。


「すべての学力の基礎は国語力」と考え、学校図書館の充実に力を注いだ。学級崩壊など問題が起きれば、教育長以下指導主事らがすぐ出向いた。担任以外の教員に、崩壊したクラスの授業を見るように指導した。


「教員全体で支え合うという狙いがある。問題児はその子に原因があるのではなく、どうしてこうなったかを大人に投げかけている」と川嵜教育長は話す。


懸念もある。学校選択制と学力テストの学校別結果公表は、5年前の前教育長時代に導入が始まった。この影響で学校によっては児童数に数倍の開きが出ている。一度人気薄となった学校のイメージ払拭は難しい。


川嵜教育長は「大事なのは教員が一丸となることで、それを支援するのが教委。国に言われるまでもなく、首長との連携で十分対処できる」と強調する。


同区立中校長は「現場の気持に添おうとする教委の姿勢には私たちの士気も上がる。結局、教育は人。国の権限強化は見当違いだ」