TBSラジオ(2007年5月30日)「ニュース逆眼鏡」小西克哉、岩瀬達哉よりピックアップ:

(小西)社会保険庁が発表した5000万件という年金支給もれ。政府は救済法案を出して採決させる方針だが、この法案で本当に救済できるのでしょうか。


(岩瀬)時効を取り外したのは、一歩進んだが、かなりの人が今までと同じように泣き寝入りさせられるのではないか。社会保険庁は元々の記録を捨ててしまっている。コンピューターにインプットしたときに紙は要らないと捨ててしまった。


捨てるに当たって台帳をマイクロフィルムに記録をとることになっていたが、スキャンにかけるときに紙が二枚重なったり、紙づまりしたのをそのままにしたり、マイクロフィルムにそもそも記録がかなり欠けている。


申し立てを受けても確認できない。社会保険庁は、年金のお金を集めることには熱心だったけど支払うことを始めからあまり考えてこなかった。だから台帳の記録も、そもそも記録ミスがある。Aさんの記録がBさんについていたり。けっこうある。


(小西)行政訴訟をする必要があるのでは?


(岩瀬)そういう動きはあるみたいです。


(小西)救済法案なんですが。


(岩瀬)30年前、40年前の領収書をもっている人はあまりいませんから。今までは窓口で押し返されていた。ところが社会問題化されて、家計簿や会社につとめていたことを証明する第三者同伴なら話を聞くということになったのですが、それを受けて記録にあたる訳です。ところが、その記録がない訳ですから救済は難しい。


三者機関で、申し立ての心象で、記録がなくても払うと言っているが、裁判をするようにやっていたら膨大な時間がかかり、実際に機能するか疑問だと思います。


(小西)年金時効撤廃特例法案と社会保険庁改革法案をセットで出すということですが。


(岩瀬)参議院議員選挙を視野にいれた争点ぼかしだと思います。


(小西)組織を変えたら責任の所在を変えるということですね。


(岩瀬)社保庁は問題が発生すると組織を変えて来た。看板を塗り替えて、その問題は前の組織の問題ですと言うわけです。日本年金機構になるとかなり責任の所在があいまいになると思います。

(by pick-up)書類の処理・管理の能力は役人の最も核となる特性だと思っていたが…