東京新聞(2007年8月1日)「放射線」藤川洋子(京都ノートルダム女子大学)よりピックアップ:

先日、ふと思いついて、「少年犯罪は凶悪化していると思うか」と聞いた。教室の8割が「そう思う」と答えた。凶悪かつ不気味な印象の少年犯罪が、現在もときどき起きているのは事実だ。


しかし、それは昔もあった。今のように大きく報道されなかっただけのことである。警察庁による「少年非行等の概要(平成18年)」でも凶悪犯の減少ぶりは明白で、傷害、恐喝などの粗暴犯に至っては記録の残る昭和24年以降、最低の件数になっている。


実務家がこれをあまり誇らないのは、人員減に繋がりかねないという心配があるからかもしれない。凶悪化論によって得をする人はいても損をする人はあまりいないのである。