TBSラジオ(2007年5月5日)『土曜ワイドラジオTOKYO永六輔その新世界』小森陽一の話よりピックアップ:

日本の国語教育が嫌なのはね、必ず小説を読むと感想文を書けという宿題がでるでしょ。とくに夏休み。感想文なんて書いてどうするんだって、わたしはずっと思っているんですが。

(pick-up)読書感想文なんて社会のなかで単独では存在しない文章である。似ているのは『書評』であるが、書評とは文章の中でも、難しい部類ものである。作文教育には向かない。


現実に使う可能性が高い文章技術は要約である。作文教育に要約を取り入れたらどうか。ただし、小説の要約はさせるべきでない。安部公房は自分の作品が教科書に出て大意を述べよと書かれていたことについて、「ぼくだって答えられませんね。大意が述べられるくらいなら、書かないですよ」と話した。要約に向いているのはエッセイや評論や新聞記事である。


創作性を養いたいなら、『物語づくり』はどうだろう。ゼロからの創作が難しいなら、書き出しを用意したり、枠組を提示したりしてもいい。グループで話し合って作ってもいい。子供だって、物語は身近に見ている文章なのだから、お手本があるのでやりやすいのではないか?