江頭進『進化経済学のすすめ』講談社現代新書/2002年よりピックアップ:

このように採算を度外視して、営利企業がやりにくい技術開発をおこない、その情報を惜しみなく開示することによって、公共の研究機関は黎明期のまだ利益が出るかどうか不確かな状況の新興産業の中で積極的な役割を果たすことができるのである。


この実験(シミュレーション)は、大学自体がベンチャー・ビジネスを始めようとする最近流行の方向とは、正反対の結果を示している。このモデルの教えるところでは、大学はあくまで採算を度外視して技術開発をおこない、その成果を営利企業に教えなければ意味はない。


産学協同というのは、産と学の分業ができて初めて意味をもつということをこの結果は示している。