東京新聞(2007年11月29日)「サブプライム問題の本質」浜矩子よりピックアップ:

ツケで飲んでくれるお得意さんがたくさんいるのは有り難い。だが、請求書はあくまでも請求書で、当座の資金繰りには役に立たない。そこを何とかしようというので、ツケの福袋をつくって売り出す。


これを世界の金融機関たちがやりだした。債権をいつまでも自分で持っているよりは、売り飛ばしてしまった方が流動性は手に入るし、リスクを分散することが可能だ。だが、考えてみれば、1つの金融機関にとってのリスク分散は、世界の金融市場にとってはリスク拡散に通じる。


ツケのパッケージを買い受けた買い手に危険が広まっただけのことである。1人にとっての福の種が、全体にとっては災のパンドラの箱と化していく。ここにこそ、「サブプライム問題」の本質がある。


新聞の見出しには「サブプライム問題」ではなくて、「債権の証券化商品問題」と書かれているべきところだと思う。だが、これでは何のことか解らない。したがって、これはメディア批判ではない。批判ではないが、読者が本質を見誤るようではいけない。