週刊金曜日(2007年11月16日)「痛憤の現場を歩く(79)」鎌田慧よりピックアップ:

オーナーは働けど働けど楽にならず、まるで苦界に沈んだ女性のような借金地獄になっている、という。


わたしは、サンクス、セブン−イレブンなど、なん人かのオーナー経営者にお会いしたのだが、それぞれ、憤りが激しい反面、経営者なのに、びくびくするほど秘密保持に気を遣っていて、まるでヤクザ組織の密告者のようだった。


というのも、無理はない。たとえば、内部密告の労働者なら、クビになって終る。(それだけでも大問題だが)が、資本を投下した経営者だから、商品納入を打ち切られれば、即倒産である。打撃は解雇よりは、倒産のほうがはるかに大きい。


弁当やおにぎりは、仮需要(見込み)だから、大量に売れ残って廃棄されている、という。ところが、本部は売れ残った分も売れたことにして儲けに計上させ、それにロイヤリティを掛けてくる。万引きのロス分も、加盟店が負担させられている。


「売れなかったものは、仕入れ原価にふくみません、ご安心下さい」といわれていた。ところが、実際は、廃棄したものも、利益に計上させられている。


アルバイターが10人、それと夫婦ふたりの給料37万円を差し引いた純利益が30万円。が、本部に45万円を入金しなければならないので、月に15万円の赤字になっている。年中無休である。経営者が徹夜で働いているのは、めずらしくない、ということもわたしははじめて知らされた。


深夜の売上高は、5%にすぎない。強盗にはいられても、店舗側が負担するような事態も起こりうる。それでいて、「コンビニATM好調」などとマスコミはチョウチン記事を書く。税などを扱うようになった。薄利であって危険度はますます高まる。


セブン−イレブン・ジャパンの鈴木敏文会長は、前経団連副会長。コンビニの夜明けはまだ遠い。