『なんや、これ?アメリカと日本』米谷ふみ子/岩波書店/2001年よりピックアップ:

ロスアンジェルスのドイツ領事館にドイツの戦後処理について尋ねた。分かったことは、(1)日本の岸首相のように、戦犯で戦後政府の重要な地位に就いた人はいない。(2)賠償金は国民の税金を高くして被害国と犠牲者一世代だけに払った。(3)国旗はワイマール共和国の時のに替え、国歌はワイマール共和国の時と同じ詩の三章目を使っている。(4)ネオ・ナチ(極右)の行動また暴力やその宣伝等、ドイツの憲法に違反するものは全部違法として対処する、ということであった。


そしてファックスしてくれたパンフレットの中の教育方針の内容を要約する。「1960年以来、文部省が、ホロコーストについて教える明確なガイドラインを出している。歴史、社会、宗教、倫理、文学の授業に、必ずホロコーストがどうして起こったか、どのようにして再び起こさせないようにできるかを多方面から生徒に討論させる。学校の遠足に必ずホロコースト記念館に生徒を連れて行くのが基準になっている。大学生が卒業する二年前、必須科目として二十世紀のドイツの歴史と世界史を2回学ぶこと」。


また「教科書を作る委員に他国人(米国、イスラエルも含む)の教育専門家が入っている。この委員が他国の教科書で、同じ事件をどう扱っているかを調べて改良する」ことも日本の文部省と比較し、注目すべきことである。これが国際的けじめというものである。