東京新聞(2007年3月18日)ロナルド・ドーア「時代を読む」からピックアップ:

「知日家」が最近の日本外交の醜態を見て頭を抱えて悲観しているという報道が頻繁に伝えられるようになった。従軍慰安婦についての安倍晋三首相のあやふやな発言、この問題の再調査を求める自民党議員が百何十人もいる事実もそうだ。


自己主張的なナショナリズムは小人のナショナリズムである。君子の愛国心とは違う。外国人の私が感心して、日本人だったら、誇りに思うだろうことは、いっぱいある。協力を基調として、株主も経営者も一般従業員をあまり搾取しようとしない企業形態を築いてきたこともそうだ。そのような企業形態が、アメリカ型へ移行しつつある。外交面でナショナリズムを貫徹しながら、そのような決定をする安倍政権は矛盾を感じないだろうか。